コーレ・クリントの機能数列とモダン概念
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概要
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デンマーク・モダンの基礎となったコーレ・クリントを取り上げ,彼が用いた数列や図面を解析することで概念の形成要素を考察した。まず彼の身体スケッチを再計測し,mmと寸へ換算したインチ数列との関係を分析した。数列は白銀比の機能性とインチ単位の有機性で成り立っていた。この点で「有機的な尺度」と「外形的な理想美より機能性を優先する」ことは基盤にあると理解した。彼の家具作品を一覧にまとめ,代表的なサイドボードについて図面の解析を行った。収納計画と寸法から,内部から外へ向けて設計したことが読み取れた。収納機能を2:3と白銀比の矩形で確保し,外形フォルムを黄金比でまとめていた。また具体的な収納力や戸車の構造を解明した。彼の家具は優れた収納力だけでなく人の動作を考慮した道具性を備えており,従前の家具概念を覆した。クリントはモダン概念を文化の連鎖の中に置いた。洗練した機能的要素を科学的視点で再構築し,社会性と機能性を有するというデザインの必然性を重視した。
- 2011-07-31