外貨換算会計における状況法に関する史的研究
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概要
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英米両国の外貨換算会計領域において、状況法導入に関して過去検討がなされたのは、文献研究によれば、英国では1968年のイングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)の勧告書(N.25)から1983年の会計基準委員会(ASC)会計実務基準書第20号(SSAP20)、また米国では1975年の米国財務会計基準審議会(FASB)基準書第8号(SFAS8)から1981年の同基準書第52号(SFAS52)にかけて最初であった(図表1「外貨換算会計年表」および注18参照)。その結果、米国にあっては「機能通貨アプローチ」(機能通貨法)が、英国にあっては「状況アプローチ」(状況法)が導入された。 2003年には英国の意向を強力に受けた国際会計基準審議会(IASB)が、1993年版の国際会計基準第21号(IAS21)「外国為替レート変動の影響」を改訂した。改訂の特徴は、「機能通貨の導入」と「状況アプローチから機能通貨アプローチへの移行」であった。 従来、英米両国の基準およびIAS は、状況法と機能通貨法このいずれも広義に解すれば状況法に属する換算アプローチとして認識されたまま放置されてきた。しかし、IASB の2003年のIAS21改訂における換算論理の変更により、機能通貨法が状況法(広義の状況法)の1つに含まれはするが、IAS の採用した「狭義の状況法」とは異なる点が明確になってきた。 そこで、IASB の2003年のIAS21改訂前にはどのような問題が存在し、その後、いかに調整を図るに至ったのか、また、どのような問題が新たに発生することになったのか、について本稿では考察を加えた。
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