報酬とリスクについて、「会仔」と「ファンド」の比較
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概要
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台湾では、民国79年(1980)の定期預金の利子率は7.19%であったが、1990年には4.62%、1995年には1.5%となり、現在は1%ぐらいである。名目利子率が1%程度のため、実質の利息はほとんどないといってよい。そこで、台湾では派生的な金融商品が溢れてくることになった。台湾のCTA(商品取引顧問業者)は、民国93年(2004)には業者数が216社であったが、昨年末(2009)には106社に減少している。商品ファンドを資産運用に利用する方法には、単一の投資対象として商品ファンドを利用する方法と、ポートフォリオ資産として商品ファンドを利用する方法とがある。ポートフォリオ資産として商品ファンドを利用する方法とは、たとえば、商品ファンドと国債もしくは若干の金融資産を組み合わせ、一つのポートフォリオを作成することである。ポートフォリオ理論は資産を収益とリスクの両面から評価する理論で、収益を期待値、リスクを分散もしくは標準偏差で計測する理論である。理論による分析結果は、一般に多様な資産に分散投資すれば、その分散投資は有利であるという結論が導出される。「倒会」がなければ、民間盛行(庶民の間で盛んである)の互助会「会仔」に参加すると10%以上の報酬率で、またお金が必要なときはいつでも借りられ(入札してもよいし)、活期存款(要求払い預金)より便利である。また最も人情味がある融資である。金融機関の業務がいくら発達しても、「会仔」からの資本調達の便利性に比べるとまだ不便である。「倒会」というのは、会首(会頭)が夜逃げすることである。会首が逃げると「会仔」の管理人がいなくなり、入札することができなくなる。落札した人も融資した金を返済すことができない、また落札していない人は積み立てた金を返してもらえない。貯蓄している金がすべて失われるのである。商品ファンドのリスクを防ぐことはなかなか難しい。投信会社の実績や、商品ファンドにかかわる各種手数料、リスクなどを考慮しなければならない。台湾では、民国79年(1980)の定期預金の利子率は7.19%であったが、1990年には4.62%、1995年には1.5%となり、現在は1%ぐらいである。名目利子率が1%程度のため、実質の利息はほとんどないといってよい。実際には、インフレ率と名目利子率は必ずしも独立してはない。この20年の間に、利子率が下がる一方で、マイナス利子率になっている。そこで、台湾では派生的な金融商品が溢れてくることになった。
- 2011-07-20
著者
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