マネジリアル・マーケティングへの社会的視点の導入に関する考察
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概要
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マーケティング論においては、企業の社会的責任についての問題は、1960年代において議論され、ソーシャル・マーケティング(ソサイエタル・マーケティング)論として体現され、展開されてきた。今世紀に入ると、地球環境問題の深刻化や多様な社会問題の生起を受けて、社会との関わりや社会利益を志向するソサイエタル・マーケティングが再び脚光を浴び、重要性を増してきている。企業においては、90年代後半から市場のコモディティ化が進行し、今やあらゆる産業における経営課題として浮上していることから、伝統的マーケティングを見直し、コモディティ化の罠から脱却するための新たなマーケティング戦略の展開が叫ばれている。このようなビジネス環境の変化のなかで、人々の社会意識が急速に高揚してきたことから、我が国においても「コーズリレーテッド・マーケティング(CRM)」の有効性が高まってきている。CRMの導入は、企業が社会からの要請に応え、顧客のニーズを満たし、コモディティ化への差別化対応といった観点からも有望な方途となりうると考えられる。そしてこれは、マネジリアル・マーケティングへの社会的視点の導入であり、永らく懸案とされてきたソーシャル・マーケティング(ソサイエタル・マーケティング)との統合化の1つのあり方であるともいえる。
- 2011-12-30