シティズンシップ教育実践の多様性とその原理 : 学習環境を規定する市民性意識の解明を通して
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概要
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本論文は,シティズンシップ教育実践とその授業構成論の違いを市民性意識の関係から帰納的に明らかにすることで,学習環境を分析する方法論を検討するものである。本研究は,従来一般的に採られてきた諸外国で実施しているシティズンシップ教育に関わるカリキュラムや教材,授業分析から演繹的な方法で学習原理やその実効性を明らかにするという方法論ではなく,子どもの持つ市民性意識が教師による教育実践とどの程度接近しているかに焦点を当て,帰納的にシティズンシップ教育実践の違いとその論理を解明する。研究の手続きは,まず研究方法論を明確にする。次に同じ題材を扱った英国と日本の市民性教育実践を分析,最後に子どもへの市民性意識調査の分析結果をもとに両国の授業構成論の相違並びにその根拠を検討した。分析の結果,まず両国のシティズンシップ教育実践が大きく異なっており,そこには両国の市民性意識の違いがあることを明らかにした。具体的には,政治的市民育成を求める英国シティズンシップ教育は,社会で行われている行動を学校で再現し実際に議論・活動する必要から,実態的活動に基づく授業構成であること。日本のシティズンシップ教育は,子ども達の判断基準が儒教的道徳などの非論理的観点に操作されており,教育にて分析的思考へと修正・改善・発展させてゆく必要性から,論理的思考育成へ向けた分析的活動に基づく授業構成が組織されていることを明らかにした。
- 2011-03-31
著者
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