窃盗罪における占有侵害の意義
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概要
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本稿は、窃盗罪における占有侵害の意義について検討・考察したものである。我国では、窃盗罪の成否判断の際、窃取行為の客体となる財物に対する占有の存否に重点がおかれている。しかし、本来、犯罪成立の中心的要件は行為であると考えられる。したがって、本稿では、はじめに、判例および学説において窃取行為がいかに定義づけされてきたのかを検討し、続いて窃盗罪における占有概念とその存否の判断方法、並びに窃取行為の要素を具体的に検討することによって、占有侵害の意義について論じた。さらに、我国の窃盗罪の問題点を明確にするために、我国の窃盗罪とイギリスにおける盗罪との比較も行った。これらの考察の結果、窃盗罪成立の判断にあたっては、窃取行為の要素が重視されるべきことが確認できた。