総説 : ヒトの適応能 : 体力と耐性との間における正の交叉適応
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概要
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身体運動鍛錬による効果としての適応とその副効果としての温熱性の馴化との問における、ヒトの正の適応能についてレビューを試みた。身体運動鍛錬刺激が多様である時は、生理的適応能も多様に発揮されるのが自然である。個体への刺激による変化は、物質的な成り立ちであるためにその法則の範疇に収まる。身体運動鍛錬の適応は、刺激の方向性に向き合う以外にない。そうした個々の分析があって、初めて他機能との相互作用における意味も問える。副効果の馴化は、塞冷血管反応の測定により判定される局所耐寒性とした。寒冷血反応は、その生理機構解明が80年間も続いている。一例報告に基づいた多くの主流研究の収敵としての総説論文という展開は、機構の本態へと近づいていない。この機会に取り上げた幾つかの非主流文献は、末梢機能を個体の反応としても位置付け分析していた。ヒトの正の交叉適応の機構の本態へ迫るには、個々の応用科学の価値から解放された刺激と反応系の研究の取り組みから導かれる、と考えられる。そうした試みは、ヒトの身体運動鍛錬効果・適応の本態と局所耐寒性・馴化の生理学的本態とを明らかにし、両者の間の正の交叉適応として寒冷傷害から末梢部を保護する生理機構と意義が明かされ、応用科学としてより有効な人の健康へ繋がる展望が開かれるのだろう。
- 2010-09-30
著者
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