音韻史・形態史よりみた英語の「強変化動詞」過去形の"古形"、"廃用形"をめぐって
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概要
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英・米語その他,各地域・方言間の小さな差異はつねに存在し、また新たに生まれるにしても、現代英語においては、形態的にも整理統合や規則化がすすみ、たとえば同一範疇に対して異なる二形が併存するようなことはよほど考えられなくなっている。しかし他方では、例えばその強変化動詞(日本の所謂"不規則動")の中に、とくに近代において、なお二様のかたちの過去形をもつものがかなりの数にのぼることは、各辞書の変化表にみることができる。ことにそれが綴り字の多様さが当然のように存在した筆写の時代にではなく、印刷術のもとでの近代の活字本の時代になお多く現れることを考えると、それらを"古形"(archaic)と呼んで現代の形態法に合わないものとして退けるか無視するとすれば、いささか専ら現代の目からする資料の非時代的、恣意的な扱いの様相を帯びるといえようか。本論は、この英語の歴史を刻む強変化動詞の過去形として、現代の常用形(?)と並んでしばしば記載されている別形一多くは「古形」「廃用形」の扱いをうける一のそれぞれの由来を明らかにし、"常用形"や"古形(廃用形)"といった便宜的な扱いをこえたところの意味を考えようとするものである。
- 2011-03-15
著者
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