グループ・インタビュー法による集合住宅居住者のニーズと課題に関する質的研究
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概要
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本研究では、モデル地区の特性、潜在化している住民の生活や健康上の問題、まちづくりや健康づくり支援上の課題を明らかにすることを目的とした。対象は、モデル地区自治会役員代表9名、民生委員18名中協力が得られた16名、A保健所職員10名(事務3、薬剤師1、栄養士1、環境衛生監視員1、食品衛生獣医係1、保健婦3)の計35名(4グループ)に対してフォーカス・グループ・インタビュー調査を実施した。その結果、1)団地建て替えによる環境の変化に伴い、コミュニティの再構築や旧住民と新たな転入者との交流、高齢者の閉じこもりやひきこもりが悪化する可能性が指摘された。これらの予測される問題に対する予防的な対応と問題発生時に役立つ緊急通報システムや住民同士のネットワークなど支援体制を検討しておく必要がある。2)自治会役員や民生委員は理想とする地域として、高齢者や障害者にも優しいまち、支え合いがあるまちをイメージしていた。また、民生委員および自治会役員は、地域で支援を必要とする人々に対して、住民側の支援者として活動し重要な役割を担っていることが明らかになった。3)支援を必要とするケースの増加、痴呆や精神障害者、多問題を抱える家族などに対して、民生委員や自治会役員だけでは対応が困難であるとし、保健所等の専門職の支援を必要としていた。具体的な課題として、(1)健康や生活に関する情報を住民にわかりやすく提供すること、(2)相談窓口の周知と各機関の役割の明確化、(3)住民側、行政、、その他関係機関同士の双方の情報のフィードバック、(4)予防的な支援ネットワークと緊急時支援体制の見直し(5)住民側支援者や地区の健康リーダーの育成と支援、(6)ライフサイクルに合わせた広い視点のまちづくり(都市計画)に多領域の専門職や住民参加を導入する、(7)理想のまちづくりに住民と専門職が協働で取り組む体制づくりの必要性が示唆された。
- 日本保健福祉学会の論文
- 2001-03-31
著者
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