環境制御システム論の基本視点(<特集>環境社会学の新たな展開)
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概要
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環境制御システム論は,環境問題・環境運動・環境政策の歴史と現状を包括的に把握するために,環境制御システムの形成とその経済システムに対する介入の段階的深化という視点を提示する。環境制御システム論の見地に立てば,環境問題の歴史は,「産業化以前の社会と環境との共存」「産業化による経済システムの出現と環境制御システムの欠如による汚染の放置」「環境制御システムの形成とそれによる経済システムに対する制約条件の設定」「副次的経営課題としての,環境配慮の経済システムへの内部化」「中枢的経営課題としての,環境配慮の経済システムへの内部化」という5段階の移行として把握することができる。環境制御システム論は,さまざまな環境問題環境運動,環境政策,環境社会学の諸理論が,それぞれどのような相互関係にあり,どのような社会的状況を背景にして登場しているのかについて,知識社会学的解明を与える。また,それは,環境制御システムによる経済システムへの介入の深化を,そのつどの段階で促進する回路と要因が何かという実践的問題を提起し,環境社会学の研究上の戦略的課題を明確にするものである。
- 環境社会学会の論文
- 2004-11-30
著者
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