事業計画における審議会公開の果たす役割 : 吉野川可動堰建設計画を事例として
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概要
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我が国には,公共事業等の計画を進める場合,まず,「審議会」(国家行政組織法第8条に基づき設置されている合議制の機関・行政によって選任された委員で構成される)と呼ばれる会議形式のプロセスがある。吉野川可動堰建設においても,審議会による議論が計画のスタートである。一般的に審議会は非公開であり,その審議過程は公開されない。こうした中,可動堰建設を検討する審議会では,市民やマスメデイアの強い要求によって,途中から段階的に審議の一般市民への傍聴が許された。会議場だけでなく別室における,テレビモニターでの傍聴も可能とするなどの方法で少しずつ関心を持つ市民が増えていった。審議会が公開され,建設省の可動堰建設の根拠となるデータを得た市民グループは,独自に専門家を立てて水位計算を行い,審議会の中で発表し議論するに至った。この現象は,これからの審議会とその公開の意義を示した好例といえ,今後の公共事業をめぐる合意形成のモデルになると考えられる。
- 環境社会学会の論文
- 2001-10-31