環境アセスメントと市民参加 : 愛知万博の環境アセスメントを例に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2005年日本国際博覧会(通称,愛知万博)は,2005年に愛知県瀬戸市南東部の通称「海上の森(かいしょのもり)」を中心として開催が計画されていた。この愛知万博をめぐっては,これまで万博に反対する運動や海上の森の保護を求める運動が展開されてきた。それら運動を行う諸グループの異議申し立ての場のひとつが,海上の森での万博会場建設のために行われた環境アセスメントの手続きであった。このような様々な運動の直接間接の働きかけにより,2000年4月には,万博開催計画は大幅見直しされている。本稿では,愛知万博の計画変更のプロセスにおいて環境アセスメントをめぐる運動がどのような意義をもっていたかを,個別の運動の指向性と連携という観点から考察する。以下では,海上の森の万博アセスメントに限定して分析を行う。最初に環境アセスメントの概要とこれまでの議論を示し(1節),これまでの万博における運動の流れを概観した上で,万博において環境アセスメントがどのように位置づけられ,どのような環境アセスメントの手続きがなされたのかを見る(2節)。そして,万博の環境アセスメントに対する運動を行った諸グループの基本的な特徴と運動展開を示し(3節),環境アセスメントにおける運動の意義と限界,そして可能性を事例を通じて整理し,今後の運動の課題を考察する(4節)。
- 環境社会学会の論文
- 2001-10-31