地球温暖化防止政策と環境社会学の課題 : ポリティックスからガバナンスへ(<特集>環境政策と環境社会学)
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概要
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京都議定書を当面の争点とする地球温暖化防止政策をめぐる国際的な議論は今,混迷の様相を深めている。本稿は,環境政策の形成が社会の構造特性によって左右されるという社会学的な視点に立って,地球温暖化防止政策の混迷の原因を解明し,このような局面をのりこえるための戦略とそこにおける環境社会学の課題を探ろうとするものである。混迷の原因の第一は,京都議定書に排出権取引制度を基軸とする市場原理を性急に導入したことにある。第二の原因は,地球温暖化防止政策の形成過程が,その理念とは裏腹に国家間のポリティックス(利害調整)に終始し,真のガバナンスには程遠い実態にある。さらに第三の原因は,京都議定書に暗示されているサブシディアリティの原則が軽視されていることにある。これらの原因には,社会空間のグローバリゼーションと言説空間の錯綜という現代社会の構造特性が深く関与している。それらに由来する温暖化政策形成の混迷を克服するには,サブシディアリティの原則に立ち返って国内政策を最優先させる必要がある。環境社会学は,未だ政策化されていない多様な提案や試みや創意を,社会の諸階層・諸地域から掘り起こし,それらを国際政策(当面は京都議定書)に則って適切にリンクもしくはミックスして有効な国内政策を構想するための指針を提示するとともに,政策形成過程を錯綜させている多様な言説を構築主義の視点から分析することによって,温暖化防止政策を真のガバナンスに近づけることに貢献できる。
- 環境社会学会の論文
- 2001-10-31
著者
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