環境社会学とはなにか : 米国でのパラダイム論争再考(<特集>環境社会学のパースペクティブ)
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概要
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いかなる社会学もその時代的、社会的背景とは無関係でありえない。人間社会と自然環境との複雑な相互関連を含め、環境問題の社会的次元を解明するために新たに定立した環境社会学も、環境事象をめぐる社会的状況に強く影響されている(Dunlap and Catton, 1979)。環境社会学をより深く理解するためには、(1)なぜ環境社会学が1970年代後半の先進工業国で生まれたのか、(2)とくに米国で成立したことが、環境社会学の内容や性格をどのように規定しているのか、(3)さらに環境社会学が、環境主義の高揚と地球環境問題の出現とによって、いかに変容し、展開しているかを明らかにすることが重要である。本稿では、環境社会学とはなにかを明らかにするために、(1)まず、米国の環境主義をめぐる社会的状況と関連させて、環境社会学の学問的定義と環境問題への立場について論述する。(2)次に、環境社会学におけるパラダイム論争を、とくに環境問題の社会学(Sociology of Environmental Issues)と環境社会学(Environmental Sociology)とを対比しながら考察する。(3)最後に、環境社会学が環境問題の社会学を超えて、めざすべきラディカル環境社会学について述べる。
- 環境社会学会の論文
- 1995-09-01