有機農業運動の展開と環境社会学の課題(<特集>環境社会学のパースペクティブ)
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概要
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1970年代に各地で自然発生的に実践が始まった有機農業運動は、異端視、白眼視された困難な状況から、「提携」という独創的運動形態をうみだし、食べものの生産-流通-消費にわたる社会・経済システムの変革を進めてきた。ところが、1980年代後半になると、農政レベルでの環境保全型農業の施策化、有機農産物を市場流通にのせるための表示の制度化など、「制度化、政策化の段階」を迎え、有機農業が「運動」から産業社会における「ビジネス」として成立する条件がでてきた。有機農産物の広域流通や外国からの輸入が拡大していくと、有機農業が本来内包していた「物質循環と生命循環の原理」が崩されていく懸念がある。このような状況のもとで、健全な有機農業の定着・拡大に向けて、地域の多様性と循環性を保障するどのような関係性(社会関係や社会システム)を構想しうるのかが、問われているのである。本稿では、日本の有機農業運動がこれまで「地域」をどのようにとらえ、どのように「地域」とかかわり、「地域」をどのように変えてきたか、といった地域的展開の諸相を、(1)自給農場づくり、(2)消費者集団との提携、(3)有機農業による地域の再建運動に分けて考察し、有機農業をめぐる環境社会学の問題視角や枠組み、および今後の課題の提示を試みた。
- 環境社会学会の論文
- 1995-09-01
著者
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- 有機農業運動の展開と環境社会学の課題(環境社会学のパースペクティブ)