華南僑郷における家族史の観光資源化
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概要
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本稿は,僑郷における帰国華僑L家の家族史を観光資源とする事例を取り上げ,それが「家庭〓案」と見なされるようになった背景と意義について考察することを目的とする。改革開放以降の中国で,観光開発の重要な目的は経済利益を得ることであった。しかしL家が自らの家屋や家族史を観光資源化した目的は,経済利益を得ることではなく,ゲストに向けて海外で歩んだ家族の歴史,帰国後の新しい環境への適応の様子,現在の海外とのつながりについて伝えることであった。L家の人々は「インドネシア帰国華僑家庭博物館」を創設し,両親の写真や遺留品を整理することを通して独自の家族の歴史・文化を「自覚」していったのである。
- 2011-09-25
著者
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