2.グルタミン酸生産の歴史(<総説特集>うま味とおいしさを生みだす科学の世界-伝統から先端技術へ-2)
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概要
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1908年、東京帝国大学教授、池田菊苗博士はコンブのうま味の本質がグルタミン酸塩であることを発見し、二代目鈴木三郎助によりグルタミン酸ナトリウムを主成分とする調味料が事業化された。当初、グルタミン酸は小麦グルテンを塩酸加水分解して生産されたが、腐食性の高い塩酸が取り扱い、多量の副生物の処理など、生産の規模拡大に限界があった。1957年、協和発酵工業株式会社の木下、鵜高により糖からの直接発酵法が発明され、これらの課題が克服されて大規模生産が可能となった。現在、全世界で毎年200万トン以上の生産が行われているが、今後はグルタミン酸生産における食資源との競合の課題解決など、持続性の追求が重要となる。