最適性理論における言語獲得 : 有標性制約の役割(<特集>最適性理論の各領域における発展・深化)
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概要
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最適性理論は,子どもの言語獲得(母語獲得)の過程に関する見解を大きく変えた。それまで,母語獲得過程にある子どもの発話は多くの「誤り」を含むとみなされてきた。それは,音声学的/音韻論的な発達が未だ大人のそれには達していないため,いわば未熟さが引き起こす「誤り」であるとされた。しかしながら,最適性理論は「有標性対無標性」という観点から,子どもの発話は母語に含まれる有標な形式を「無標で適格な」形式で一時的に「代用している」とみなし,その代用の段階から大人の発話形式の獲得は,照合性制約が上位にランク付けされるようになることで説明できるとした。本稿は,このような最適性理論における言語獲得に対する原点となる考え方をまず概観し,さらに,照合性制約だけでなく有標性制約の役割に焦点を当てる。有標性制約間のランキングや,有標性制約の相対化,という新たな概念も子どもの母語獲得に重要な役割を果たす可能性があることを示す。
- 日本音声学会の論文
- 2009-08-30
著者
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