類型論的ギャップはどこからくるのか : 並列OTと逐次OTの比較研究(<特集>最適性理論の各領域における発展・深化)
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概要
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言語類型上の体系的空白を原理的に説明することは,言語理論の大きな目標の1つである。全ての可能な言語形式だけを生成し,不可能な言語形式を排除するのが文法の機能だからである。ゆえに,全ての制約が普遍的であるとの仮説に立つ最適性理論では,制約の相互作用により体系的空白を適格に排除できる点を経験的に検証することが,必須の研究手続きとなる。しかし問題は,その排除をどこで保証するかである。体系的空白を生む文法上のメカニズムとしては,従来から,制約の非対称性や序列の非対称性(つまりCONの制限)が知られてきた。絶対的非文法性の議論もある。本発表ではさらに,局所的最適性(EVALによるGENの制限)が有効であることを主張する。その有効性を異化作用に見られるある種の体系的空白に基づいて経験的に検証・証明することにより,局所的制約結合を用いた'parallel OT'よりも,調和的逐次性を取り入れた'serial OT'の方が妥当であるとの理論的意味合いを導き出す。
- 2009-08-30
著者
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