好酸球増多を伴った糞線虫症の1例
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概要
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症例は78歳女性。2008年6月乾性咳嗽と38℃の発熱があったため,当院を受診した。CRP値は上昇し、白血球増多と好酸球増多、胸部X線上左下肺野に網状の浸潤影をみとめ、CTでは小葉中心性の粒状影や浸潤影をみとめた。メロペネムを投与したが反応せず、プレドニゾロンの投与でも症状や胸部陰影の増悪や寛解を繰り返した。約2ヵ月後から再び好酸球の増多とIgE値の上昇をみとめた。上部消化管の内視鏡検査で十二指腸に小白粉性隆起をみとめ、病理学的に同部に寄生虫体の構造をみとめ、また糞便中にラブジチス型の幼虫が認められ、糞線虫に対する血清抗体価も上昇していた。糞線虫症と診断し、ivermectinを2週間隔で2回投与したところ、症状も所見も全く消失した。幼少時にフィリピンにて感染し、老齢化により症状が顕性化したものと考えた。
- 2011-12-25