被差別部落における<被差別の表象>とまちづくりの課題 : 生活史の聞き取りから
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概要
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被差別部落は同和対策事業を通じ、その環境を激変させたと言われる。 "差別をどのように伝え・言い表すか"という課題をめぐってふりかえれば、同和対策事業において急務であった就労・経済格差問題、生活環境問題は、地域に暮らす人々にとって差別的状況を物語る<被差別の表象>として考えられる。禁忌に触れる職・危険な職・不安定な職や劣悪な住環境など「貧しさ」として表現されてきた部落の生活ぶりは、人々にとって被差別の結果である。しかし、それは同時に"なぜわたしたちの部落は差別をされるのか"という差別を引き起こす原因としても見なされる場合もある。同和対策事業による改善事業は目に見えた格差を埋め、被差別を表象するメディアとしての職と生活環境の存在を希薄にしていくことができた。本稿ではまず第一に、こうした事業以前の被差別の表象としての職と環境について考察を行う。次いで、比較的新しい具体的な事業の事例を通じて、共生と解放のまちづくり活動のなかで確認された(被差別の表象)をめぐる部落の課題について記述していく。
- 2009-03-12
著者
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