看護師養成の大学化の進展とその課題
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概要
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近年、看護師養成課程を持つ大学が急速に増加している。本稿は、こうした状況を踏まえて、看護師養成の大学化が内包している課題を明らかにすることを目的としている。そのため、法令上の看護師養成の教育課程編成基準の変遷をたどり直すことで教育課程の大学化のこれまでの進展を概観し、実際の看護師養成数において大学での養成が占める割合の動向と合わせて考察を行った。大学での看護師養成の拡大に対応して、教育課程の編成基準については各大学の自主性・自律性を発揮できるように大網化が進んできた。大学としての特色を生かすために一層の弾力化も求められている。しかし他方では看護の質の確保を図る上で一定の細部にわたる編成基準の維持が求められ、また大学以外での看護師養成もいまだ大きいことから、大学教育に合わせた教育課程編成基準の更なる大網化、弾力化は現状では難しいであろう。看護師養成の大学化が更に進展するかどうかを判断するには、大学と大学以外の養成機関が並存している現在の看護師養成制度そのものの見直しの動向を見てゆく必要がある。
- 2011-02-28