地球温暖化交渉における次期枠組みの一考察 : COP15以降の交渉テキストの分析を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2010年12月にメキシコのカンクンにて開催された第16回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP16)は2011年12月に南アフリカのダーバンで開催予定の第17回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP17)での次期枠組みへの合意を目指す「カンクン合意」を採択して閉幕した。次期枠組みは京都議定書が規定していない2012年以降の国際的な温暖化対策を各国に課すものであるため、COP17までに一刻も早い合意が期待されている。本稿では2009年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催された第15回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP15)にまで遡り、現在に至るまでの交渉テキストの変化を分析する。その際、[1]気温目標に関する扱いと2050年までの締約国の温室効果ガス(GHG)排出削減目標、[2]先進国のGHG排出ピークアウト並びに2020年までの中期目標、[3]途上国のGHG排出削減目標、の3点を軸に分析する。この研究の結果、削減目標に関する議論においてはCOP15で交渉されたものからあまり進展が見られず、また各国が掲げている自主目標と科学の求める削減数値の間に大きなギャップが生じていることが判明した。そのため、各国はCOP17までにコペンハーゲン合意に提出した自主削減目標よりも高い目標設定をすることが求められていることが伺える。
- 2011-10-26