運動誘導視覚失認、人工視野欠損、認知的フィルイン(フェロー受賞記念講演,文字・文書の認識と理解)
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概要
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視知覚におけるフィルイン現象(FI)は謎に満ちた視覚の基本的機能である。本論文ではFIについて運動誘導視覚失認(MIB)を用いた分析を研究する。従来のMIBでは試験図形の消失は確率的またはランダムに生じるとされてきた。しかし誘導刺激を工夫することにより、試験図形の消失を同期させることができた。視覚において偏心度は重要な条件である。通常MIBは中心視を多少はなれた領域で生じる。上記の同期消失において偏心度が一定であることが決定的な要因か検証した。結果は偏心度は重要ではないことがわかった。 MIBの変形としてフリッカー刺激による視覚失認(FIB)も研究されている。従来研究より低速なフリッカーで効果的なFIBが起こることを発見した。これらの知見を総合し、消失する試験図形を大型化することを試みた。消失の大きさとしてヒトの盲点に匹敵する図形を消失させることができた。ヒトの盲点ではFIが生じる。 MIBにより生じた人工的盲点(AS)で自然の盲点と同様にFIが生じるか否か大変興味ある問題として研究が進んでいる。従来研究では肯定的結果が主張されている。本論文で工夫した大型のASで検証したところ、背景輝度、色彩はFI可能であるが、線分やテクスチャーはFI不可能であった。
- 2011-03-03
著者
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