量子暗号むけ高速秘匿性増強アルゴリズム(情報通信基礎サブソサイエティ合同研究会)
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概要
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量子暗号は量子論を安全性の根拠とし,無条件安全性を達成する暗号方式である.量子暗号プロトコルを大きく二つのコンポーネントに分けると,単一光子の送受信を行う「量子通信」と,そこで得られた乱数列を現実の暗号で使用可能な秘密鍵に変換する「鍵蒸留処理」とからなる.鍵蒸留はさらに誤り訂正および秘匿性増強からなるが,安全性に関する最近の理論研究では,この秘匿性増強処理における単位ブロック長nを大きく(1Mビット以上)とるべきとされている(有限長効果).このため従来は,量子通信の典型的速度(約1Mbps)に追従するには,鍵蒸留のためにFPGA等の専用ハードウェアが必要であるとしばしば考えられてきた.これに対し本稿では秘匿性増強を効率的におこなう手法を新たに提案し,計算量を従来のO(n^2)からO(n log n)に低減する.この結果の検証のため本方式をソフトウェア実装したところ,鍵長1Mビットでの処理速度は従来方式の約7,000倍に達した.結果として,鍵蒸留処理をすべてソフトウェアでおこなったとしても,量子通信のスループットに十分追従できることが確認できた.
- 2011-02-24
著者
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