東亜同文書院農工科の実像についての一考察 : 経営理念と実態,教育的特徴,卒業生の進路を中心に
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概要
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中国上海に存在した東亜同文書院の農工科は,中国の未開発資源を活用して小工業を興すことのできる人材の育成を目的として設置された。その教育は専門的知識と,東亜同文書院で従来から施されていた中国語や中国事情,商品学などの実学を融合させた独自のものであった。第一次大戦期の日本経済の好景気や中国での資源開発および投資機会の増大などを背景として,卒業生の就職は日本と中国におよび,鉱業関係をはじめ様々な方面におよんだ。しかし,大戦後の不況期に入ると経営母体である東亜同文会の財政難により,僅か8年で廃止された。そのため,農工科の理念は経営上の問題により実現し得なかったのであった。
- 2011-07-25