異なる具体物による等分活動がインフォーマルな知識と方略に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
算数科で利用される具体物の形状の違いが,子どもの等分方略にどう影響を与えるか検討する.小学4年を対象に「分数」導入授業を,単位に依拠せず,等分で分数表記する実験群(1学級)と,数量の単位に依拠し,長さ・かさの端の大きさを分数表記する教科書群(2学級)とに分け,実施した.等分に関するプレ・ポストテスト,子どもの等分方略,授業直後の内省記録をそれぞれ分析した結果,次の事項が確認された.1)具体物の形状に合わせてインフォーマルな知識が活性化される.2)授業前に等分理解が不十分と判断された子どもにとって,インフォーマルな知識を使った方略が等分理解に有効である.3)ポストテストでの誤答の多くは,部分が不等分であることを考慮せず,全体を区分された数値で分数の大きさを判断しているものである.これらより,部分と全体を相互参照できる活動で,インフォーマルな知識が活性化される具体物が有効であることが示唆された.
- 2011-06-30