ペットの家族化と葬送文化の変容
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今日、日本の葬送文化はさまざまな変容を遂げている。本論では、特に今日のペット供養を取り上げ、伝統的に行われてきた畜生供養とどのように異なるのかを明らかにする。馬頭観音を本尊とした馬供養のように、ペット供養文化が開花する以前にも、日本では動物に対する供養は行われてきた。伝統的な六道輪廻観において動物は、地獄界・餓鬼界の次に低い畜生界に属していると考えられてきた。畜生供養は、中国撰述の『梵網経』を典拠としているが、それは牛馬猪羊など一切の動物の発菩提心を説いているため、本来は動物の成仏をめざすものである。それに対して、ペットが家族化した現在、多くの場合、飼い主は、個々のペットの他界観に関して小さな物語創作を行い、自らの死後、ペットとの再会を願っている。しかし、これはペットに限った現象ではなく、人間に対する他界観に関しても、死者を祀る側の願望にしたがって、小さな物語創作が行われてきているのが垣間見える。
- 2011-06-30
著者
関連論文
- 現代日本における墓石の形状変化
- 日本の文脈における死者儀礼の諸相
- ペットの家族化と葬送文化の変容
- 今日における先祖供養の商品化 : 手元供養の事例(第八部会,第六十六回学術大会紀要)
- 今日における先祖供養の商品化--手元供養の事例
- 現代日本における社会的変動と先祖祭祀について--変容する祭祀形態
- 現代におけるインターネット供養の展開
- 女性ファッション誌はどこへ行くのか (Portfolio 自然と人間)
- 納骨堂のデザイン変容と他界観 (Portfolio 人間と環境・世界)