東方イバード派における人間の宗教的分類と忘恩・偽信概念の展開
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では、イスラームの初期東方イバード派における人間の宗教的分類と、同分類で用いられる忘恩・偽信概念の役割及び両概念の関係を、同派の学者による書簡や神学書を用いて考察した。クルアーン、ハディースにおける用法を確認した後で、東方イバード派は、二/八世紀には偽信者を多神教徒から区別する作業を行い、人間の分類に際しては一神教と多神教、また現世と来世という二重の基準が使われていたこと、偽信は大罪や義務行為の不履行という行為と関連づけられた一方、忘恩は、啓典クルアーンの解釈の誤りという知的営みを意味に含めて展開されたことを明らかにした。そしてこれらを踏まえ、一部の研究者が主張する、同概念が同義であることについて、両概念は互いに密接に関わり、重なり合う部分が多いものの、少なくとも初期の時期に、両概念が同義であったと考えられていたと断じることは難しいと結論付けた。
- 2011-06-30
著者
関連論文
- 触媒反応ネットワークのエナジェティクスによる細胞の状態論(修士論文(2009年度))
- オマーン議会の動向--制度の現状と第6期(2007-2011)の活動を中心に
- 東方イバード派における人間の宗教的分類と忘恩・偽信概念の展開
- 信仰者と不信仰者 : マートゥリーディー学派における人類の二分化の理解