大地の母(Earth Mother)
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概要
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大地, 大地の神性, 大母神については, 多くの神話のなかで伝承されている. 大地は永遠であり, 万物はそこから生まれ, そこへ帰っていくことから崇拝され, 信仰の対象とされてきた. 地母神の多産性は, 必然的に大地の母性の観念へと結びつく. やがて豊饒と女性の多産性は, あらゆる農耕社会の基本的観念となる. 更に女性は, 宇宙的豊饒性の源と考えられている大地や月と結びついている. 「大地の母」(earth mother)の範疇に入る女性は『八月の月』(Light in August, 1960)に登場するリーナ・グローヴ(Lena Grove), 『野生の棕櫚』(The Wild Palms, 1970)に登場する妊婦, 『村』(The Hamlet, 1940), 『町』(The Town, 1957), 『館』(The Mansion, 1959)などの「スノープス」三部作に登場するユーラ・ヴァーナー(Eula Varner)とその娘リンダ・スノープス(Linda Snopes), 『死の床に横たわりて』(As I Lay Dying)に登場するデューイー・デル(Dewey Dell)などが代表的な例である.
- 藍野大学の論文