正常圧水頭症に伴い麻痺側に押す減少を呈した1例
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概要
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重症くも膜下出血後の続発性正常圧水頭症の発現に伴い、麻痺側に押す現象を呈し、特異な経過を示した症例を経験した。症例は50歳男性で、重症くも膜下出血、左片麻痺であったが理学療法等を施行し良好な回復経過を示していた。しかし治療期間途上に行われた未破錠動脈瘤のクリッピングおよびコーディング手術後、脳室拡大、歩行障害、知的障害、尿失禁を呈し正常圧水頭症と診断された。歩行障害は特異的であり、麻痺側と同側に押す現象(いわゆるPusher現象)を認め起立不能になった。この麻痺側と同側に押す現象は理学療法による変化に乏しかったが、脳室-腹腔短絡術施術後、劇的に回復した。本症例の麻痺側と同側に押す現象の発現起序は、正常圧水頭症(脳室拡大による圧排)による脳全般の機能低下によるものであると推察するが、半側視空間無地の有無や麻痺の状況により知的機能の変化と同調していることから、むしろ両側前頭葉障害との関連が強く示唆された。正常圧水頭症にみられる歩行障害で麻痺側と同側に押す現象の報告は本例が始めてであろう。
- 国際医療福祉大学の論文
- 1998-12-25
著者
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