キャリア教育にかかわる価値観形成についての一考察
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概要
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教育基本法の改定を受け、新学習指導要領及び解説書においてはキャリア教育に関連する内容が随所に看取される。文部科学省は、小学校・中学校・高等学校を通じて計画的・系統的なキャリア教育の実践を推奨している。キャリア教育の核として位置づけられているこれまでの中学校の進路指導においては、職場体験が、全国の90%以上の中学校が実施されているとはいえ、必ずしもその理念を踏襲し有機的展開により成果を上げてきたとは言い難い実態がある。文部科学省は、キャリア教育とは、端的には「児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」であるとしているが、勤労観・職業観という抽象的表現であることと、その指導内容や指導方法が明示されていないこと等から、題材選択や指導に関する判断は教育現場の教師に委ねられているのが現状である。そのため、教育上の学校間格差や教師の理解に誤謬が生じることは否めない現況である。そこで本論は、勤労観・職業観という抽象的概念について考察した上で、指導に際して必要とされる具体的内容を提案する。また、教育現場が指導の指標としている「職業観・勤労観を育む学習プログラムの枠組み(例)-職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から-」の問題点に言及し、今後の我が国のキャリア教育の課題と対策について考察する。
- 2010-02-28