胃におけるHelicobacter pyloriの発癌性に関する細胞化学的研究-p53蛋白の発現について
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概要
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Helicobacter pylori(Hp)感染によって胃癌の前癌状態と考えられている萎縮性胃炎が進展することと、Hp感染と胃癌との相関を示唆する疫学的報告に基づいてHpと胃癌との因果関係が追及されている。informed consentの得られた心窩部痛精査の患者21名を対象として、内視鏡時に採取した胃粘膜生検標本を用いて、p53蛋白発現率・萎縮性変化の程度について、Hp感染者と非感染者との間の比較検討を行った。Hp陽性は15例で、うちp53蛋白の発現が陽性のものは6例(40%)であった。Hp陰性例は6例(うち1例は除菌療法後1カ月の症例)で、p53蛋白の発現が陽性のものは除菌療法後の症例だけであった。萎縮性変化の程度は、全般にHp陽性例の方が高度であった。以上より、Hp感染によって慢性萎縮性胃炎が引き起こされ、それによって変異型p53遺伝子の過剰発現が起こり、細胞増殖の調節障害が招来され易くなり、発癌につながる可能性が示唆された。
- 国際医療福祉大学の論文
- 2003-12-25