キャリア初期の成長に影響を与える人間関係のネットワーク--"Developmental Network"の生成と変容のプロセスに関する実証的研究
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概要
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本論は、以下のような研究課題に基づき、調査協力企業の大学卒(一部大学院卒)の若手社員35名を対象にインタビュー調査を行った結果を分析したものである。1)キャリア初期にある若手社員を取り囲む人間関係はどのような態様であり、その成長にどのような影響を与えているか。2)周囲の人間との関係性の布置は、若手社員の成長に伴ってどのように変容していくのか。はじめに、調査対象者の成長度合いについて、若手社員の主観的な側面を基準として分析を行った。その結果、大きく高・中・低の三つの成長群に分けることができた。次に、若手社員の成長に影響を与えていると考えられる人間関係について分析し、ポジティブな影響を与えている人間関係については9つの概念を、ネガティブな影響を与えている人間関係については8つの概念を生成した。同時に、これら17の概念から、若手社員を取り囲む人間関係の布置の特性について、3つのカテゴリーを生成した。さらに、周囲の人間との関係性の布置が、若手社員の成長度合いとどのように関連しているのかについて分析した結果、多様で緩やかな関係性は、高成長群と中世成長群の一部で見られ、限定的で濃密な関係性を持つ者は中成長群に多く見られ、希薄な関係性は低成長群の者に多く見られた。一方で、高成長群の若手社員は、新規顧客の開拓や新製品の開発に携わる部門に属しており、社外も含めた多様で緩やかな人間関係を形成していた。このことは、従来型の営業や製造の業務に携わる多くの若手社員が、限定された関係性を持っていることとは対照的であった。このように、職務特性によって構築される関係性の特徴と有効性にどのような相違があるのかについては、今後さらに追求していくべき課題であると考えられる。
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