隣の芝生は青いか : 環境経済学者がのぞいた環境社会学(<特集>環境ガバナンス時代の環境社会学)
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概要
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環境問題を扱う社会科学の分野として,環境社会学と環境経済学は隣同士のようなものである。日常生活でも隣同士は親密になったり,喧嘩したりととても喧しい。経済学は社会科学のなかで最も「教科書化」の進んだ分野として知られ,研究の作法にやかましく,研究の細分化も進み,現実を研究者に都合よく切り取った数理パズル解きに終始していると批判されることも多い。環境経済学にもその側面がないわけではない。とくに私の専門とする評価研究などはその側面を強くもっているのかもしれない。しかし,経済学で進められている方法論の練磨はその目的に照らし,まだまだ十分といえる段階にはない。それは観測を基本に社会における因果関係を明らかにするという目的においては現在の方法論はやっと緒に就いたにすぎないという意味である。じつは,科学が科学的推論の道具として依拠してきた統計学において因果関係を問うことは一種鬼門であり,とりわけ観測データに関して因果関係を扱いうる枠組みが正しく認識されるようになってきたのはつい最近のことなのである。この方法論の展開を平易に紹介しながら,隣の環境経済学者として環境社会学について考えてみることにしたい。
- 2009-10-31
著者
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