『食物本草』と『本朝食鑑』の比較を通した食文化の相違とそれぞれの特徴について食品の性質(気味,効能)の違いに視点をあてて
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概要
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中国元時代に書かれた『食物本草』と1697年人見必大によって書かれた『本朝食鑑』について,食文化の面に焦点をあてて両書の内容を比較した。両書において共通に掲載された食品は243種類あった。両国の食文化の違いから両書で一致した掲載食品数は分類種別により異なった。一致数が多い部は菓部,菜部,禽部,穀部で,一致数の少ない部は鱗部,蛇虫部であった。この結果は両国の食生活の相違に基づくと考えられる。必大が『食物本草』『本草綱目』を参考にしながらも,日本人の食生活に合わせ食品を選択して記載していたことが伺えた。両書ともに,それぞれの食品の調理方法,加工方法が身体へどのように影響するかを述べた記載もあり,これは当時の養生書の特徴であった。日々の食事を通して健康を維持していくという「薬食同源」の考え方を両書とも受け継いでいた。
- 2011-06-05