「オイソラ」連中が語り始めるとき : 戦後農村サークルにみる市民メディア・デザインの考察(<特集>新たな社会づくりのためのデザイン)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は、市民メディアを一般市民による日常的な表現文化の系譜のなかに位置づけ、仲間や地域のために集う人々のコミュニケーション活動として考察する歴史研究である。市民メディアとは、放送やラジオ、インターネットなどを活用して行われる市民による自主的な表現活動を指す。本稿では、まず市民メディアにおけるコミュニケーション活動を「メディア・デザイン」の枠組みとして提示したうえで、その構図に当てはめながら歴史的考察を進めていく。対象は、1950年代の農村サークル「ロハ台」(埼玉県土合い村、現浦和市)である。村の不良(「オイソラ」連中)を含む若者たちが集う「ロハ台」において、彼らが表現し、学びあうことに覚醒していくようす、また結果として部落社会のしがらみのなかで仲間割れし、衰退していく過程を分析する。それらを通して本稿は、情報技術とともに変容する市民メディアをデザインの観点からとらえる視座を提案することを目指している。
- 2011-03-01