21世紀型グローバル成長戦略のロードマップ(2009年全国大会統一論題 21世紀型グローバル成長戦略)
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概要
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本稿では、20世紀型の垂直統合戦略の限界を明らかにするとともに、それを克服する21世紀型のビジネスモデルについて論ずる。その論理を踏まえ、21世紀型の成長戦略のための「ロードマップ」を素描する。第1章では、垂直統合型が凋落する理由を明らかにし、フラット化した世界での生き残り戦略について説明する。第2章では、21世紀の経営課題として、「へらす経営」(Subtraction Management)を提唱する。地球環境にかかる負荷の低減をビジネスの目的とし、ICTにおけるクラウド利用を通じて、新しいビジネスモデルが構築可能なこと。そのためには、部分最適と全体最適を調和させたデザインが必要なこと。グローバルなビジネスモデルを開発するためには、プラハラッド・クリシュナン(Prahalad & Krishnan 2008)が提唱するN=1,R=Gの実現が必要なことを論証する。第3章では、ビジネスモデルのデザイン・サイクルを提案する。そこでは(1)「ビジョン」としての地球環境への貢献(持続可能性)とそれを実現するための方法論としての「戦略」のありかた。(2)ビジネスモデルのデザインの前提条件として、「薄い利潤」環境の中で生きることを掲げ、志を同じくするパートナーとのネットワーキングの重要性を主張する。(3)業務プロセスの構築では、自社開発による差別化の重要を指摘し、この部分に競争優位(非標準化)が存在すると主張する。(4)成果の測定と評価により、状況の変化に対応して、絶えずビジネスモデルを進化させる必要性を主張する。以上のように、21世紀型ビジネスの成長戦略を「へらす経営」と特徴づけて、それを達成するためのビジネスモデルのデザイン・ルールを論じた。
- 2010-09-30