日本における経済成長と消費不況 : 総務省「家計調査年報」の分析を中心として
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概要
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本稿では、日本経済の成長率および家計の動向に着目して、消費の冷え込みについて検討する。先行研究として松原隆一郎が、(1)消費の増減は国民総生産の大小の結果であること、(2)消費は所得の変化に対して遅れて反応すること、しかし(3)ラチェット効果が1997年を境に突如消滅したことを指摘している。松原は、1997年にラチェット効果が消滅した原因として、大企業の倒産、ひいては修身雇用の動揺という点を指摘しているが、これに対して本稿では、日本の消費不況について基本的に上記(1)(2)の点で説明することができること、そしてラチェット効果は作用していた点を指摘する。具体的には、総務省「家計調査年報」を手掛かりとして、1989年度から2008年度に掛けての家計の能動的な推移を実証的に分析する。