肯定的出産体験をもたらすための看護 : 出産体験の想起・統合を促す看護の効果の検証
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概要
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本研究の目的は,産褥早期に出産体験の想起・統合を支援する独自の看護介入が,肯定的出産体験をもたらすかどうか,その効果を検証することである。看護介入群には,分娩時にケアを提供していない看護者が出産体験の想起・統合を目的とする看護介入面接を産褥2日以内に行った。介入所要時間は平均86.3(50〜140)分であった。介入群30名と,対照群30名について,既存の出産体験に関連する尺度を用いて統計学的に介入の前後(分娩後と退院前)で比較し,以下の結果を得た。1)介入群は,対照群よりも,自己の出産態度を有意に肯定的に評価していた。2)出産体験のとらえ方は,対照群がほとんど変化がなかったのに対し,介入群は介入後に中性的反応の割合が減少し,肯定的反応の割合が増加していた。3)出産体験に対する満足度は,対照群が分娩後よりも退院前に低下したのに対し,介入群では介入後である退院前に有意に高くなっていた。4)自己概念については,対照群においては有意な変化はみられなかったが,介入群では介入後である退院前に有意に高得点であった。以上より,本看護介入は肯定的出産体験をもたらすことに有効であることが示唆された。