樹冠内の光環境を考慮して評価したヨーロッパブナ成木の光合成へのオゾン影響(<特集2>広域大気汚染の生態系影響)
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概要
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ドイツ、ミュンヘン工科大学では、2000〜2006年の7年間に渡り、樹齢60年、樹高約30メートルのヨーロッパブナ林にタワーを建て、成木全体へのオゾン(O_3)暴露実験を行ってきた。ヨーロッパブナ(Fagus sylvatica L.)は、ほとんどの葉が樹冠頂から数メートルの狭い範囲に密集しており、少しの位置の違いで生育する光環境が大きく異なるという特徴を持つ。光環境の違いは光合成特性を変化させ、O_3による光合成影響を不明瞭にするため、ヨーロッパブナ成木の個々の葉が実際に受ける受光量を考慮に入れて、O_3影響の再評価を行った。結果として、O_3暴露により気孔が閉鎖することが、光合成速度の低下の主要因であることが明らかとなった。これらの一連の野外暴露実験の研究成果を基に、O_3が樹木の成長に及ぼす影響について考察する。
- 2011-03-30