「スピリチュアル・ブーム」をどうとらえるか--福岡県内の大学生を対象とした意識調査より
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
要旨 現在の日本では、「スピリチュアルなものへのあこがれ」、いわゆるスピリチュアル・ブームが、若い世代の間にも広がっている。ここ1〜2年の間に、社会学や心理学の領域で、この要因を考察した論考が多数出版された。 本稿で、著者はこれらの論考を6つのパターンに分類し、それらを仮説としてその妥当性を検討する量的調査(福岡県内の4大学を対象、有効票509)を実施した。具体的には、1自己責任が強調される風潮のに耐えられない個人化した自己が求める「癒し」への希求、2スピリチュアルな言説と既成宗教の言説との連続性への忘却、3土井隆義が言う「キャラ化」した自己の動機付に関連した議論、4「大きな物語」への依存と忌避を並列させようとの思い、5望ましい心理的影響のみを求めるプラグマティックな心理主義、6TVメディアの培養効果、の妥当性を計量した。 量的分析の結果、これらの仮説のほぼ全てが棄却された。分析を進めると、スピリチュアルなものへの関心が、女性のジェンダー・トラッキングに関係している可能性がむしろ示唆された。今後、ジェンダーの視点でスピリチュアル・ブームを研究することは、宗教社会学のみならず、ジェンダーに関する社会学的研究をも前進させる可能性がある。
- 2011-01-08
著者
関連論文
- 尾嶋史章編著, 『現代高校生の計量社会学』, ミネルヴァ書房, 2001年, A5判, 242頁, 3600円
- 「スピリチュアル・ブーム」をどうとらえるか--福岡県内の大学生を対象とした意識調査より
- 友枝敏雄編, 『心と社会をはかる・みる-人間科学への招待-』, 九州大学出版会, 2005年, B5版, 282頁, 2625円
- 少年非行に影響を与える要因--地域の物理的環境と中学生の非行容認度との関係
- 生活保護受給者の自立阻害要因と自立支援策--福岡県田川地区502ケースを対象とした分析より
- 中高年求職者に対する心理的支援プログラムの試み -「福岡県再就職応援セミナー」における効果の検討-
- 中学生の万引き行為に関連する要因
- 「ポストモダン人類学」についての反省的考察(2)
- 「ポストモダン人類学」についての反省的考察(1)