苺状血管腫に対する早期レーザー治療の効果と合併症の検討-短パルス幅色素レーザーと皮膚冷却装置付き長パルス幅色素レーザーの比較検討-
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概要
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苺状血管腫は、患児が成長するにつれて自然消褪が期待されるため、就学期ころまで経過観察を行うのが一般的である。一方、近年パルス色素レーザーの開発により、本症に対する早期レーザー治療の報告が散見されるようになったが、その有効性に関して一定の見解は未だ得られていない。 今回、苺状血管腫に対する早期レーザー治療の有用性を検証するため、最初に開発された波長:585nm、パルス幅:0.45msecの第一世代パルス色素レーザーで治療した群(PDL群)と、その後開発された波長:595nm、可変式パルス幅:0.45〜40msec、皮膚冷却装置付きの第二世代パルス色素レーザーで治療した群(LPDL群)の治療効果と合併症について比較検討した。対象は苺状血管腫を有する患児75例(PDL群25例、LPDL群50例)である。いずれの症例も生後120日以内に治療を開始し、増大傾向を認めなくなる時期まで4週毎に照射を行った。評価項目として、最大隆起時期を計測し、照射回数、合併症の有無および治療効果を1歳時に判定した。その結果、最大隆起時期に関して、LPDL群はPDL群に比し有意に短縮し、照射回数も減少した。両群共に高い治療効果を認めたが、PDL群は色素脱失を32%に認めたのに対し、LPDL群ではその頻度が有意に減少した。長パルス幅色素レーザーは、(1)血管径の大きい苺状血管腫に対応できる、(2)照射時表皮を冷却しメラニンへの熱破壊を抑える等の利点を有するため、短パルス幅色素レーザーに比し低侵襲でより高いエネルギー照射が可能である。それゆえ、最大隆起時期や照射回数の短縮および合併症の減少が得られたものと思われる。苺状血管腫に対するレーザー治療は、皮膚冷却と長いパルス幅を備えたレーザーにより、安全かつ有効な治療が得られることが示唆された。
- 2011-08-25