剣道場の床表面の塗装の有無による傷害・障害の発生と官能評価
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概要
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要約 本研究の目的は、剣道場の床表面の塗装の有無によるスポーツ傷害等の発生状況および道場床に対する官能評価の違いを明らかにすることである。研究対象は、九州学生剣道連盟に加盟する9大学294名の大学生である。稽古で使用する床表面に基づき大学生を無塗装群(117名)とウレタン群(177名)の2群に分け、χ2検定を用いて検討した。その結果、傷害等の発生状況で有意差は認められなかった。しかし、無塗装群の稽古時間が長いことによるover usesyndromeと、ウレタン群が足裏の保護に日常的にテーピングを使用していることは、傷害等の発生状況に影響を与えていると思われる。官能評価では、ウレタン塗装は踏み切り動作に適しているが、それ以外の項目はすべて無塗装が適していると評価された。しかも、ウレタン塗装で稽古している学生の無塗装に対する違和感が、無塗装の学生のウレタン塗装への違和感より小さいことから、学生は送り足移動や床感覚、身体への負担を重視し、無塗装の床を剣道に適していると評価していると思われる。しかしその一方で、道場床のutilityに起因した運動技術の変容の可能性も示唆されている。剣道の伝統性はソフト・ハード両面から検討される必要がある。
- 2011-07-31