ウィグル民族アイデンティティと民考漢の将来
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概要
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本論の目的はウイグルにおいて、民考漢(漢語でミンカオハン、大学入試を漢語で受験するウイグル人のことをこのように称する。どのような集団が、いつから使用するようになったのか、よくわからない。これを明らかにすることも重要である。漢語で流布していることも注目しなければならない。これと対照的な言葉が民考民、入試をウイグル語で受験するウイグル人のことである)を通じて、民族アイデンティティの概念に批判的検討を行うものである。 ウイグルの教育的状況は中国政府の政策変更によって、激変を余儀なくされている。それに伴い、現地調査に基づく論文や書籍が出版され始めている。私のフィールドワークのデータをもとにそれらを検討し、民考漢といわれる人たちはどのような存在であるかを明らかにし、将来的にはどのようになるかを考えていく。 民考漢は民族的anomalyという人もいる。これは人類学者のM.ダグラスの概念を使用している。だが、これを民族的集団という人間に適用するには、単なる分類的逸脱、両義的存在とするだけでは図式的すぎる。動物的な分類と違い、人間集団が静態的に分類可能かという問題がある。さらに、民族的アイデンティティには、歴史的文脈での権力作用の発動を考慮する必要がある。
- 2011-01-01
著者
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