週1回の大学体育が日常の身体活動量およびメンタルヘルスに及ぼす影響
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概要
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【目的】本研究の目的は、実技を中心に行われる大学体育(研究I)および実技と講義を融合した大学体育(研究II)が受講大学生の日常の身体活動およびメンタルヘルスに及ぼす影響を評価することであった。【方法】研究Iの対象者は実技中心の大学体育を受講した体育受講群78名(女性56.4%、年齢18.1±0.3歳)と選択履修のため受講しなかった対照群69名(女性52.2%、年齢18.2±0.7歳)の計147名、研究IIの対象者は実技と講義による大学体育を受講した体育受講群35名(女性34.3%、年齢19.0±1.4歳)と対照群105名(女性72.4%、年齢18.6±1.4歳)の計140名であった。体育授業の内容は、研究Iではテニスなどのスポーツ活動およびレクリエーション活動で構成された実技のみの授業、研究IIでは計8回の健康の知識を学ぶ座学および計6回のスポーツ実技の融合形式で構成された授業であった。対照群は体育受講群と同じ学部から大学体育を履修していない者を選んだ。全対象者には初回と最後の授業時に身体活動とメンタルヘルス(抑うつ、不安、不眠、日中の過剰な眠気)からなる質問表調査が実施され、研究参加の同意を得られた者から回収された。【結果】研究Iでは、体育受講群の歩行活動量が介入後に対照群より有意に高値を示し、対照群の特性不安得点は増加し悪化したが、体育受講群では維持し悪化しなかった。研究IIでは、体育受講群の高強度および総身体活動量が男性受講学生では対照群より有意に増加したが、女性受講学生には同様の有意差は認められなかった。また、体育受講群の日中の過剰な眠気が男子受講学生で対照群より改善する傾向が認められた。【考察】以上の結果から、実技を中心に展開する大学体育が受講学生の特性不安を軽減させる可能性があること、また実技と講義を融合した大学体育は男子受講生の身体活動を増強し日中の過剰な眠気を軽減させる可能性があることがそれぞれ示された。今後、同様の研究を継続し明確な因果関係を構築する必要がある。
- 2010-03-15
著者
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