日本の温暖地・暖地におけるコムギ育種の近年の成果と今後の課題
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概要
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北海道においてはコムギの品種交代が進み,収量と品質の向上がめざましいが,温暖地・暖地においては品種交代が進まず収量と品質の向上が緩慢である.温暖地・暖地においては日本めん用品種を主目標に育種が行われてきたが,日本めん用には北海道産コムギが使われ,都府県産コムギは主として菓子用に用いられるようになったため,対象用途の見直しが必要となっている.輸入コムギに対抗するため高品質化が重視され,品質を構成する硬軟質性やグルテニンに関する研究が進展し,成果を挙げてきた.一方収量性や耐病性に関する研究は停滞しているが,見直す必要がある.早熟化や耐湿性など,重要であるにもかかわらず遺伝資源がないために改善の目途が立っていない形質もあり,変異の拡大が求められている.