英領インドにおける「宗教」領域の問題性 : ラームモーハン・ローイの再検討(アジアの近代化と宗教,<特集>第六十九回学術大会紀要)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論はインド大反乱までの英領インドを近世ととらえた上で論じる。植民地支配は宗教を特異な領域として生み出し、それがインドをとりわけ宗教的とみなすインド観を成立させた。合理的な精神をもち、世俗的な国民国家のイデオローグとしての性格を強く示すラームモーハン・ローイ(一七七四-一八三三)は、「近代インドの父」と言われるばかりではなく、「宗教・社会改革者」として有名である。宗教に限定されない近代イデオローグであったローイが、なによりも「宗教・社会改革者」として登場せざるをえなかった点に、英領インドにおける「宗教」領域の特異性がある。そこでは社会は宗教と一体化したかのごとく現象する。こうしたローイの思想的位置を、内村鑑三によって「宗教の敵」と呼ばれた福澤諭吉との対比からさらに考える。ローイと福澤の類似点を、両者がともに評価したユニテリアンの思想を媒介させることで明らかにする。
- 2011-03-30
著者
関連論文
- 外川昌彦著, 『宗教に抗する聖者-ヒンドゥー教とイスラームをめぐる「宗教」概念の再構築-』, 世界思想社, 二〇〇九年二月二〇日刊, A5判, vii+三〇八頁, 三八〇〇円+税
- 英領インドにおける「宗教」領域の問題性 : ラームモーハン・ローイの再検討(アジアの近代化と宗教,第六十九回学術大会紀要)