議会類型論とわが国の参議院 : 過程仮説の再検証
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概要
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国会も一定の役割を果たしているとする過程仮説は、今日の立法過程研究のひとつの基礎を築くこととなった。そこでは、可処分時間を減少させている国会の制度・慣行が、野党の国会戦術として利用されており、結果としてわが国の国会が一定の変換機能を獲得してきたことが明らかにされた。本稿の主眼は、過程仮説において言及された国会機能論の制度・慣行上の論拠が妥当であるかを検討することにある。可処分時間を減少させてきたという点で、会期制や委員会中心主義の果たしてきた役割は大きい。しかし、参議院の存在は、それらと同列に論じることはできない。過程仮説においては、参議院は衆議院のカーボンコピーとみなされ、そのことが可処分時間の減少をもたらすと説明される。しかし参議院は制度・慣行上、事実上の「拒否権」に近い強い権限を有しており、過程仮説が指摘するような衆議院の単なるカーボンコピーではなく、ヴィスコシティを直接強めるようなアクターとして機能している。以上の観点から、本稿は過程仮説を再検証しながら、国会の問題やその課題について分析を試みたものである。
- 2010-09-30