世紀転換期サンフランシスコにおける華僑アイデンティティ創生と「華」の表出(<特集>移住先社会と中国のあいだで-近現代史における「華」を問う)
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概要
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19世紀から20世紀への世紀転換期におけるサンフランシスコ華僑社会を事例に,アジア域外における中国人の自覚を伴う自己表現,すなわち「華」の表出を論じる。早期の在米中国人は,原籍地毎に分かれる本籍地アイデンティティを持ち,それに基づいて生活した。しかし1870年代以来,主流社会側が排華運動の高まりとともに中国から来た人々をChineseとして一元的に捉え始め,中国人側もまた排華への対抗措置として,郷幇を超えてまとまる中華の名を冠した統括団体を設立し,内外で中国人を包摂する概念が定着し始める。華僑社会が初めて「華僑」を肯定的な自己表現として多用したのは,1905年反米ボイコット時であり,現地中国語日刊紙『中西日報』がその媒体となった。この時の自己表現は,同時期に中国で高揚したナショナリズムや民族の自信を伴い,華僑アイデンティティの誕生と位置付けられる。
- 2011-02-25
著者
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- 書評 根橋正一・東美晴編著 明石書店 『移動する人々と中国にみる多元的社会--史的展開と問題状況』
- イェール大学容〓学会参加記
- 根橋正一・東美晴編著, 明石書店, 『移動する人々と中国にみる多元的社会-史的展開と問題状況』, 2009年9月刊, 330ページ, 税込4,200円